ある患者さんにARNiまたはSGLT2iのいずれを投与すべきかの判断において、症状は気にせず、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)のみを利用すべきですか?

Dr Sim: 診療では、症状とNT-proBNPの両方を考慮に入れる必要があります。症状は無視できませんし、患者さんの病歴を聴取するのに1円もかかりません。これは全く難しいことではありません。NT-proBNPの測定は、主に2つの理由で実施します。1つには、症状に加えてNT-proBNPを測定することで、予後に関する詳細な情報が得られるからです。また、特にアジアでは多くの患者さんが症状を軽視する傾向があるためです。

心不全を長年患う患者さんの中には、機能状態がII度やIII度でも、もはや正常だと思い込む方がいます。症状は時折、やや主観寄りになることがあります。このような場合に、より客観的なNT-proBNPが非常に役立ちます。ご存知の通り、全ての薬剤がNT-proBNPに対して同等に作用するわけではありません。これは、SGLT2iとARNiがNT-proBNPの各四分位値に対して異なる作用を示すと考えられていることからも分かります。VICTORIA試験の結果によると、ベルイシグアトに関しては、8000 pg/mL未満の特定のサブグループのみが良好な反応を示すようでした。つまり、8000 pg/mL超では、全く反応しない可能性があります。現在利用可能な7~8種類の異なる薬剤クラスを患者さんに投与することは現実的ではないため、どの患者グループでベネフィットが得られるかを判断する上で、NT-proBNPサブグループを今後のために利用することは極めて有用です。合理化を図ることで、最もベネフィットが得られる患者さんを見極めることができるようになります。昨今、多くの国で費用対効果が非常に重要視されていますが、こうした方法を用いることで、高価な薬剤を患者さんに処方する理由が説明しやすくなりました。

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