Dr Januzzi:COVID-19では、心臓の観点から様々なかたちで徴候が現れることがあります。中でも心房細動がよくみられ、心筋炎に関連するか否かを問わず心筋機能障害(やや起こりにくいとは言えますが、依然として発症する人もいれば発症しない人もいます)やストレス心筋症がみられます。このほか、虚血性心疾患が誘発され、他の機序によって、COVID-19の重度の患者さんのかなり高い割合でトロポニン上昇だけでなくNT-proBNP上昇も伴う心筋障害の徴候が見られます。
重篤ではないCOVID-19の患者さんにNT-proBNPの上昇が認められることがありますが、これは当該患者さんが重症化するかどうかの予測には役立ちません。一方、症状が悪化しやすくなってきている患者さんでは、経時的にその値が上昇するため、入院中にモニタリングすることは有用です。急性心不全やCOVID-19など、心臓の一次診断で来院する患者さんが増えていますが、NT-proBNPは依然としてこれらの患者さんの診断にも用いることができ、これは心強い事実です。つまり大事な点として、COVID-19における心不全の診断においてもNT-proBNPが利用できるのです。